未経験なのに連結決算業務を担当することになったらどうするか?
長年、連結決算業務を担当していると、新たにこの業務に配属される人の大半が大きな不安を感じるものだと分かります。連結決算は、親会社及び子会社の単独決算が理解できていることを前提としつつ、連結決算特有の知識も必要とするからです。
これまで簿記の勉強をしてきた人であっても、連結会計の論点に苦手意識を持つ人は少なくありません。連結会計が簿記2級の試験範囲に入ったのは2017年ですので、それ以前に簿記の勉強をされた人の中には、連結会計そのものを学んだことがないということさえあるのです。
そのような場合、真面目な人になればなるほど「連結会計の基礎」的な解説書を読むところからスタートしがちです。決して悪いことではありませんが、1冊読み終えるまでに相当な時間がかかってしまうことと、読み終えてもその内容のほとんどが頭に残っていない、という可能性が高いです。
そんなあなたへアドバイス。
まずは簿記2級の連結会計の練習問題を20回解いてみてください。20問ではありません、20回です。最初の数回は理解することより手順と仕訳を覚えるつもりで、5回目を過ぎたら分からない箇所について解説を読みながら進め、10回目を超えたら自分の中で解く順序を確立させるつもりで、そして正確に。
この方法の狙いは、連結決算のプロセスを仕訳の形で頭へインプットし、定着させることにあります。
連結決算実務は複数のメンバーと協力して取り組むことが多く、未経験者が配属された直後に担当する業務は、連結決算全体の中でもその一部、例えば内部取引の消去や未実現利益の消去など、にとどまることが多いことでしょう。
(私の勤務先では、「初心者は、棚卸未実現利益の消去から」と決めています)
そのような場合であっても、連結決算全体のプロセスとそれぞれの仕訳を理解できているのといないのとでは、仕事の精度が変わってきます。
慣れてきたら、
・練習問題の計算前提を、実務に近い数字に置き換えて解いてみる
(例:持分比率、実効税率、利益率などをリアルな数字に変えるなど)
・連結仕訳を全点検して、理解できない仕訳を見つけて、その意味を先輩社員へ聞く
(これは学習簿記と実務との差を認識する作業になります)
に取り組んでみてください。学習簿記上の「連結会計」と、実務上の「連結決算」の両方への理解が深まっていくと思います。
学んだことを実務で活かすのは、なかなか楽しいことです。
単独決算の場合は、学習簿記と実務の乖離が得てして大きいものですが、連結決算の場合はその乖離が比較的少ないです。学んだことが実務で活かしやすいというメリットをぜひ感じていただきたいと思います。
未経験で連結決算業務を担当することになって悩んでしまったら、簿記2級の連結会計の練習問題を20回解いて、不安を取り除きましょう、というお話でした。