【中学受験、父と息子の365日戦記】第2話|息子が勉強をやめた夜、“怒りオーラ”が家庭を包んだ

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公開学力テストの前日、息子はまったく勉強しようとしなかった。
妻に注意されて、しぶしぶ計算問題に取り組んだものの、難しい問題を繰り返し間違えて癇癪を起こす。イライラして、机に突っ伏す息子の姿に、私は何も言えなくなった。

正直、怒りがこみ上げていた。
「明日はテストだぞ」「何で真剣にやらないんだ」――そんな言葉が喉元まで出かかっていた。
でも、出さなかった。いや、出さないように必死に堪えていた。歯ぎしりするほどに。

息子は、明らかに勉強への耐性が足りていなかった。
小6からの受験スタート。周囲の子は何年も前から塾通いをしている。比べてはいけないと思いつつも、焦りは消えなかった。

ただ、この日の私は少し違った。
「テスト前日に勉強に取り組んだこと自体が進歩」
「間違えた問題をやり直したのも、成長の証」
――無理やり、そう思うようにした。

親として、気づき始めていたのだ。
大人の視点から見れば当然のことも、子どもにとっては初めての経験ばかり。ペースが遅くても、遠回りでも、少しずつ進んでいることに目を向けよう。そう思えるようになってきていた。

この頃はまだ、息子がどのように学ぶタイプなのかも、親として把握しきれていなかった。
ただひとつ分かっていたのは、「私の焦りが、息子を追い詰めてしまうかもしれない」という事実だった。

怒りを抑えて黙っている私の姿に、妻が後から一言こう言った。

「怒りを必死に堪えているオーラ、出てたよ」

その言葉に苦笑しながらも、心のどこかでホッとしていた。
まだ私は“我慢”ができている。まだ“踏みとどまれている”。
それはきっと、この先もっと大きな嵐を乗り越えるための第一歩だったのだと思う。

(続く)

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※この物語は全13話(随時更新)で構成されています。次話はこちら → 第3

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【メッセージ一覧|第2話編】
vol-007|「テスト前日なのに、勉強しない息子」──苛立ちと焦りの正体
vol-008|「勉強体力」がない息子、「我慢体力」がない親
vol-009|『子どもの進歩に目を向けよう』って分かってるけど、できない日もある
vol-010|「怒りを堪えるオーラ」出てました…と言われた夜
vol-011|親の焦りは、子どもを追い詰めるかもしれない

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