【中学受験、父と息子の365日戦記】第6話|「親ブーストは毒」という言葉に救われた

5月の連休、私は何冊かの中学受験本を読んだ。
おおたとしまささん、安浪京子さん、長谷川智也さん…。
それぞれ異なる視点から語られる中学受験のリアルは、まるで“父親の心の鏡”だった。
その中で、ある言葉に出会った。
> 「親ブーストは毒」
その瞬間、胸の奥をズドンと打ち抜かれたような感覚になった。
思い当たる節が、ありすぎた。
宿題の進捗に目を光らせ、成績が出れば分析し、勉強時間に焦り、教材の整理まで手を出す。
それは息子のためだったけれど、振り返れば「親の焦り」でしかなかったのかもしれない。
私は変わろうと思った。
この受験を「合格という結果」だけで終わらせたくない。
もっと大事なのは、息子が「自分で考え、自分で選び、自分で歩く力」を育むことだとようやく気づいた。
“親ブースト”でたどり着いた合格には、中身がない。
中身のない合格は、その後の中学生活で空虚になる。
それは、きっと不幸なことだ。
そんなことを考えていたら、「ご縁のあった学校が最善」という言葉も、ようやく心に落ちてきた。
偏差値や志望順位では測れない、「本当の意味でのベスト」がきっとある。
今の私は、そう信じている。
とはいえ、これは“言葉にできるようになった”というだけで、
実行はまだまだ難しい。
つい小言が出てしまうし、イライラもする。
でも、「あ、いま自分、親ブーストかかってるな」と自覚できるようにはなった。
この“気づき”こそが、私にとっての大きな前進だった。
中学受験は、親の成長物語でもある。
私がこの試練を越えなければ、思春期を迎えた息子と向き合えなくなる。
だからいまは、“見守る強さ”を磨くしかない。
そう、自分に言い聞かせながら、今日も深呼吸している。
(続く)
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※この物語は全14話(随時更新)で構成されています。次話はこちら → 第7話
【メッセージ一覧|第6話編】
▸vol-029|どこまで手を出す? 親の“介入ライン”に迷った日
▸vol-030|中学受験のゴールは「合格」じゃないと気づいたとき
▸vol-031|見守るって、思っている以上に難しい