vol-040|親離れ・子離れの序章――中学受験がくれる気づき

子どもが少しずつ、自分の意思で机に向かい始める。
「今日はここまで」と自分で区切りをつけ、翌日にはまた椅子に座って問題を解いている。

——その姿を目にしたとき、親としては胸が熱くなるものです。
あれほど「やりなさい」と言っても動かなかったのに。
言い合いになった夜もあったのに。
ときには、親が説教に熱を入れすぎて、子どもが身をすくませてしまったこともある。
それでも、やがては自分で走り出す瞬間が訪れるのです。

その一方で、心の奥に小さな戸惑いも残ります。
「出番が減っていく」という寂しさ。
口を出さないと決めていたのに、本当に何も言わなくても子どもが前に進んでいくと、親の方が取り残されたような気持ちになるのです。

中学受験は、単なる学力競争ではありません。
毎日の宿題チェックや、夜遅くまでかかる解き直し。
「もう寝なさい」と言いながらも、終わらせてから寝かせるべきか迷う。
テストの結果を見て一緒に喜んだり、落ち込んだり。

そんなふうに、親が子を支え、子が親を頼りながら過ごす時間です。
けれど、その中でふと気づくのです。
——確かに“親離れ・子離れ”の序章が始まっている、と。

まだまだ完全に手を離すことはできません。
塾の課題に追われる毎日、生活リズムの崩れ、気持ちの浮き沈み。
放っておけない場面は山ほどある。
それでも、少しずつ役割は変わっていきます。

親が「指示する人」から「信じて見守る人」へ。
子どもが「やらされる側」から「自分で選び取る側」へ。

中学受験という時間は、学力のためだけでなく、
親子が互いに変化を受け入れるための試練なのかもしれません。

—— あなたは、子どもの自走を前にして、どんな気づきを得ましたか?

このお話は、「中学受験365日戦記」第9話と連動しています。
あわせてお読みいただけると、きっと共感していただけることがあると思います。

息子の成績・宿題・感情…実際の家庭で起こったリアルな記録はこちら👇
👉 中学受験、父と子の365日戦記|第9話を読む

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