知ってましたか?相続財産で最も強いのは現金です
日本では、相続財産として現金が非常に好まれる傾向があります。その理由は、現金が持つ流動性の高さや分割のしやすさにあります。
まず、現金は他の財産と比較して、分割が容易です。遺産を複数の相続人に分配する場合、現金であれば簡単に均等に分割できますが、不動産や株式などは分割が難しく、評価額の算定や売却手続きが必要になるため手間がかかります。また、不動産は売却する際に手数料や税金が発生するため、現金ほどスムーズには扱えません。
さらに、現金は流動性が高いため、急な出費や相続税の支払いにも対応しやすいです。相続税は原則として相続開始後10か月以内に納付する必要がありますが、現金があればすぐに支払うことができます。これに対して、不動産や株式はすぐに現金化することが難しいため、納税に支障をきたす場合があります。
加えて、現金は価値が一定であるため、価格変動リスクがほとんどありません。不動産や株式は市場の変動により評価額が上下するため、相続時点での価値が変わるリスクがあります。こうした要因から、日本では相続財産として現金が好まれる傾向が強いといえます。
なお、時々「納税資金に困ったら物納すればいい」と言われる方がいますが、昨今では物納が認められる条件は大変厳しく、年間100件にも満たない状況です。国税庁情報では令和5年に物納が許可された件数は16件でした。