この本、読みました!第2回 きみの話を聞かせてくれよ
書籍情報
書名:きみの話を聞かせてくれよ
著者:村上雅郁
出版社:フレーベル館
出版時期:2023年4月
中学入試採用実績:2024年 栄東中、駒場東邦中、海城中、専修大学松戸中、学習院中等科など少なくとも14校で採用
公式紹介文(フレーベル館HPより引用)
新船中を舞台に黒野良輔とその友人たちを描く青春群像劇。共感できる悩みや思いが、7章7人の主人公によって紡がれる。
中学受験の国語問題から知った一冊が、予想以上に心を揺さぶる読書体験になることがあります。
「きみの話を聞かせてくれよ」は、新船中を舞台に7人の主人公それぞれの視点から紡がれる青春群像劇。
黒野良輔とその友人たちが抱く悩みや葛藤は、大人になった今でもどこか身近に感じられます。
2024年度入試では、栄東中、駒場東邦中、海城中、専修大学松戸中、学習院中等科など少なくとも14校で採用された話題作です。
本を手に取ったきっかけと読書順
この本は、同日に購入した『成瀬は天下を取りにいく』とセットで書店から持ち帰りました。
「中学入試での出題数が多い」というネット情報を見かけたことが、手に取るきっかけです。
『成瀬』を先に読み終えた私は、自然とこちらは息子に先を譲ることにしました。
登場人物が中学1年生から3年生までの男女ということもあり、「これから思春期を迎える息子にはちょうどよい題材では?」と感じていたからです。
親子で読んだ感想
先に読み終えた息子に感想を聞くと、「良かったよ」と短い返事。
それ以上は聞きませんでした。理由は2つあります。
ひとつは、ちょうどこの頃から息子に“思春期の兆し”が見え始め、あまり踏み込みすぎない方がいいと判断したこと。
もうひとつは、自分自身が“思春期の子供を持つ親”としてまだ未熟だと感じていたからです。
私が後から読んで強く感じたのは、「ああ、中学時代・思春期とはこれほど繊細な時期だったのか!」ということ。
自分の中学時代もそれなりに多感だったはずですが、そこまで繊細だったという自覚はありません。
母に聞けば、「あんただって繊細で、かなり気を遣っていたよ」と言われそうで、少し怖い気もします。
もしかすると、こうした本を通じて私自身の心境が変化し、7月以降の息子の精神面や成績に良い影響を与えていたのかもしれません(あるいは偶然かもしれません)。
読書を通じて感じたこと
この本は、青春の繊細さをとても丁寧に描いています。
正直、アラフィフの自分があまり深く踏み込むのは少し恥ずかしいとも感じました。
若者には若者の世界がある――そう思うからこそ、この物語は彼らの大切な時間として尊重したい。
それでも、現在思春期の子を持つ親、これから思春期を迎える子を持つ親(特に男親)には、ぜひ読んでもらいたい一冊です。
次回予告
次回は、瀬尾まいこさんの『あと少し、もう少し』を取り上げます。
駅伝を舞台に、中学生たちが自分の限界や仲間との絆に向き合う姿を描いた物語。
インドア派の息子が「ちょっとやってみたい」と口にした、わが家にとっては珍しい“運動系スイッチ”の瞬間についてもお話しします。