この本、読みました!第3回 あと少し、もう少し

書籍情報

書名:あと少し、もう少し
著者:瀬尾まいこ
出版社:新潮社
出版時期:2015年3月
中学入試採用実績:春日部共栄中、獨協中、吉祥女子中、攻玉社中など少なくとも10校以上で採用

公式紹介文(新潮社HPより引用

陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。

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ページをめくるたび、胸の奥が少しずつ熱くなっていく——。
駅伝を題材にした物語なのに、不思議と走ること以上に“人とのつながり”が心に残ります。
息子と同じ年代の登場人物たちが全力で駆け抜ける姿に、親としても思わず自分の青春を重ねてしまいました。

親子で読んだ感想と、読書を通じて感じたこと

この本との出会いは、私が「中学入試でよく出題される作家」を調べたことから始まりました。そこで名前が挙がったのが瀬尾まいこさん。さっそく妻に「図書館で瀬尾さんの小説を探してきて」とお願いし、借りてきてもらったのが『あと少し、もう少し』でした。
最初に読み終えたのは私。駅伝で県大会を目指す中学2年〜3年生男子6人の物語で、それぞれの性格や背景が描かれています。読んでまず思ったのは、「中学生の男の子って、こんなに面倒くさいの?」ということ。大人の目から見れば、どの子も細かいことを気にしすぎに見えるのですが、物語の中の大人たちは口を挟まず、温かく見守っています。

前回読んだ『きみの話を聞かせてくれよ』で「思春期の女子は大変だ」という学びを得たのですが、この本で「男子もやっぱり大変」という事実に気づきました。思春期は子どもも大変、そして親も大変。
さらに驚いたのは、息子に感想を聞いたときのこと。「6人全員、それぞれに共感するところがある」というのです。物語の中で“面倒くさい”と感じた登場人物たちに、息子はしっかり共感できる。それはそれで嬉しい反面、「中学生になったら父親としても大変だぞ」と覚悟するきっかけにもなりました。

そんな息子に「どう? 中学校で陸上とか駅伝とか、やりたくなった?」と聞いてみると、「うん、本を読んでたらちょっとやりたくなった」との返事。運動習慣がほとんどなく、インドア派の息子からの言葉に思わずニヤリ。中学に入ったら運動部もいいな…と期待したのですが、その後すぐに「んー、でも長距離走は向いてないし、やっぱり数学研究会かな」とあっさり撤回されました。まさに「あと少し、もう少し」だったかもしれません(笑)。

改めて、自分にも思春期があったはずなのに、美しい思い出にすり替えてしまっていたことに気づかされました。実際は、それ相応に面倒くさいことも多かったはず。これから本格的に訪れる息子の思春期に向けて、私なりのスタンスで向き合おうと心に決めた一冊です。
思春期を迎える男子を持つ親御さんには、ぜひ読んでほしい作品です。