この本、読みました!第5回 お探し物は図書室まで

書籍情報

書名:お探し物は図書室まで
著者:青山美智子
出版社:ポプラ社
出版時期:2020年11月
中学入試採用実績:2025年東洋英和女学院、早稲田実業中ほか

公式紹介文(ポプラ社HPより引用)

 お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?不愛想だけど聞き上手な司書さんが本と付録であなたを後押しします。

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静かな図書室で、人生が少しずつ動き出す――。
『お探し物は図書室まで』は、悩みや迷いを抱えた人々が、不愛想なのに不思議と心を開かせる司書さんと出会い、本と小さな「付録」に背中を押されていく物語です。
ページをめくるたびに、図書室独特の落ち着きと、本を介して人とつながる温かさがじんわりと広がります。

本を手に取ったきっかけと読書順

この本を手に取ったのは、6月下旬。『成瀬は天下を取りにいく』『きみの話を聞かせてくれよ』などと一緒に書店で購入しました。私は早々に読み終えましたが、登場人物が全員大人だったこともあり、当初は息子には薦めませんでした。

ところが、その後息子の読書ペースが上がり、青春小説以外にも手を伸ばすようになったため、「この本もとても素敵だよ」とすすめてみました。すると息子はその日のうちに読了。「さらっと流すように読んだの?」と尋ねたら、「いや、ガッツリ読んだ。面白かったよ」と即答でした。

親子で読んだ感想

私は数日かけてじっくりとページをめくりました。青山美智子さんの作品を網羅しているわけではありませんが、現代社会の中で見えづらくなっている「人のやさしさ」や「小さな希望」が物語に丁寧に織り込まれており、読後感が心地よく感じられます。もし書店で複数の作家さんの新刊が並んでいたら、青山さんの本を優先して選びたくなる――そんな魅力があります。(少し疲れているときは、なおさら手に取りたくなるかもしれません。)

息子にとっては、物語の舞台や登場人物の環境が自分の日常とかけ離れているため、直接的に共感できる部分は少なかったはずです。それでも「面白かった」と素直に感想を口にしたのは、作品の根底に流れる温かさや前向きさが、年齢や経験を超えて届いたからかもしれません。

読書を通じて感じたこと


中学受験生や中高生には、物語のすべてを等身大で理解するのは難しいかもしれません。それでも、少し先の大人社会を垣間見たり、「大人になるのも悪くない」と思えるきっかけになる作品だと思います。特に、少しおませな中学受験生女子にはぴったりかもしれません。

次回予告

次回は、村上雅郁さんの『かなたのif』を取り上げます。
一瞬の判断や、もしもあの時…という選択が、人生の景色をどう変えるのか。中学生の視点で描かれる“分岐点”の物語は、親としても考えさせられるテーマでした。
親子での読後のやりとりや、私自身が強く印象に残った場面についてお伝えします。