この本、読みました!第4回 成瀬は信じた道をいく

書籍情報

書名:成瀬は天下を取りにいく
著者:宮島未奈
出版社:新潮社
出版時期:2024年1月
中学入試採用実績:2025年 金蘭千里中・同志社香里中ほか

公式紹介文(新潮社HPより引用)

 成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!

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今回の舞台に登場するのは、小学生から大学生、子育て中の父、近所の主婦まで、さまざまな人生を歩む人々。彼らが成瀬と交わることで、日常の景色が少しだけ鮮やかに、そして不思議に温かく変わっていきます。

前作で感じた「若さって素晴らしい」という感動に加え、「人と人が交差する瞬間の面白さ」が詰まった続編。成瀬らしさは健在でありながら、その世界はさらに広がりを見せています。

本を手に取ったきっかけと読書順

『成瀬は天下を取りにいく』(通称:成天)の続編です。
前作を読み終えたとき、「次作は文庫が出たら買おう」と節約家らしく心に決めていました。ところが、その決意はあっさり崩れます。本屋で見かけた瞬間、「やっぱり今読みたい」と購入してしまったのです。

ちょうど息子と外出中のことだったため、帰宅するとすぐに息子が「先に読ませて」と手を伸ばしました。予想通り、彼はあっという間に読み終えてしまいます。

私が読み始めると、前作以上の勢いと面白さに圧倒されました。「成天を楽しめた人は即、本屋へ走れ!」というネットの評判を軽く見たのは大失敗。文庫化まで待とうとした自分を激しく後悔しました。

親子で読んだ感想

どの篇も面白いのですが、特に私は「コンビーフはうまい」が大好きで、何度も読み返しています。一方で、作中に登場する成瀬の父親があまりに自分と似た行動をしていて、読んでいて痛くなる場面もありました。

息子は成瀬のある行動について「僕も自然にやっちゃう」と共感しており、このような小さな引っかかりが読者の心をつかむのだと思います。

読書を通じて感じたこと


本作は、成瀬らしい自由奔放さを保ちながらも、人と人との交差がさらに広がりを見せる一冊でした。前作を楽しんだ方にはもちろん、続編からでも十分に楽しめる内容です。

前作とともに、新潮社の公式サイトでは特集ページと試し読みが用意されています。成瀬ワールドをまだ知らない方も、まずはそこから足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

次回予告

次回は、青山美智子さんの人気作『お探し物は図書室まで』を取り上げます。
人との出会いや自分の本当の気持ちに気づくきっかけが、静かな図書室から始まる物語。
親子それぞれの視点で、心に残ったシーンや感じたことをお伝えします。