この本、読みました!第11回 僕には鳥の言葉がわかる
書籍情報
書名:僕には鳥の言葉がわかる
著者:鈴木俊貴
出版社:小学館
出版時期:2025年1月
中学入試採用実績:出版が2025年1月につき、中学受験での出題は確認できていない
公式紹介文(小学館HPより引用)
言葉を持つのは人間だけであり、鳥は感情で鳴いているとしか認識されていなかった「常識」を覆し、「シジュウカラが20以上の単語を組み合わせて文を作っている」ことを世界で初めて解明した研究者による科学エッセイ。
第24回新潮ドキュメント賞、第13回河合隼雄学芸賞 W受賞!
本を手に取ったきっかけと読書順
読書順:息子が先、父が後。
きっかけは、義妹(妻の妹)の“推し研究者”である鈴木俊貴さんが初めて出した単著でした。
「面白いから読んでみて」と義妹に薦められ、妻がそのまま借りてきてくれたことで、家族全員で読むことになりました。
妻は義妹との会話を思い出しながら、
「カラスに詳しい人は別の研究者。この鈴木先生はシジュウカラの人よ」と教えてくれたのですが、どうやら鳥類研究の世界もジャンルごとに分かれているらしい――その時点で「奥が深そうだ」と感じたのを覚えています。
親子で読んだ感想
この本の面白さは大きく4点に集約されます。
- 鳥が「言葉」を操ることへの驚き
シジュウカラが単語を20以上使い、文章を作って意思を伝えるという事実は、やはり衝撃的でした。 - 自然界の厳しさと共存
異なる鳥同士が協力し合いながら生きる姿には、人間社会にも通じる逞しさを感じました。 - 仮説を立てて検証する過程
「鳴き声は意味を持つのでは?」という直感を証明するまでの道のりは、困難で地道な作業の連続。それをユーモアを交えて描く著者の筆致に感心しました。 - 研究者の生態そのものの面白さ
狂気じみた集中力と、対象への深い愛情。この両輪があって初めて「動物言語学」という新しい学問分野が生まれるのだと実感しました。
息子は①の「鳥がしゃべる!」という驚きに夢中でした。
一方の私は③に強く惹かれました。仮説を立て、それを証明するために何年も集中して取り組む姿――自分には到底できないからこそ、強烈に印象に残ったのです。
読書を通じて感じたこと
まず、「学者とはここまで“道”を突き詰めるのか」という驚きが大きかったです。息子が何かに夢中になる姿を見て「研究者になるのもいいかも」などと軽々しく考えていた自分を反省しました。
鈴木俊貴さんは世界の第一人者であり、新しい学問を切り拓くほどの人。誰もが真似できるわけではありません。
また、日常の鳥の声に対する意識も変わりました。毎朝カラスの声を聞きながら「今の声は怒っている?知らせている?」と想像してしまいます。カラスにはカラスの世界があるようで、まだまだ奥が深そうです。
「言葉を操るのは人間だけ」という思い込みが、発想を縛り、発見を遠ざけてきたのかもしれません。この本は、そんな固定観念を解きほぐしてくれる一冊でした。

