税理士が本当に好きな仕事は申告書作成ではない
簿記が好きな税理士という少し変わった人種
今日は2026年3月14日(土)です。
今年の所得税の確定申告期限は3月16日。残り3日となりました。
この時期、日本中の税理士が一年で最も忙しい時期を迎えています。
もっとも、副業で税理士業をしている私MKの場合、自分自身の令和7年分の確定申告はずいぶん前に終わっています。
私は個人事業を始める前から、毎年確定申告をしてきました。
そのため e-Tax(WEB版)も長く使っていますが、年々進化しており、「よくここまで使いやすくなったものだな」と感心することが少なくありません。
一方で、税理士業務で使う e-Taxソフト(インストール版)は、正直なところ「使いやすい」とは言いにくい面があります。
細かい説明は省きますが、税理士として申告を行う場合、
- 納税者側の「利用者ファイル」でデータを作成
- それを税理士側の「利用者ファイル」に切り出す
- 税理士として電子申告する
という手順を踏む必要があります。
この作業、体感としては
e-Tax(WEB版)で申告書を一通作成するのと同じくらいの手間がかかります。
実際のところ、私の精神的負担はその3倍くらいある気もするのですが(笑)。
税理士は陰で検算をしている
e-Taxは計算を自動で行ってくれます。
これは本当に便利な機能です。
ただ、私は少し疑り深い性格なので、
e-Taxの計算結果をそのまま信用することはありません。
Excelと電卓を使って、必ず検算をしています。
これは e-Tax の計算ロジックを疑っているというより、
自分自身の入力ミスがないかを確認するためです。
申告書の入力画面を順番にチェックしても、
人間の入力ミスというものは案外見つかりません。
しかし、別の方法で計算し直すと、
「あれ?」という数字が浮かび上がることがあります。
多くの税理士が同じような作業をしていると思います。
一般の納税者の方に一つお伝えするとすれば、
税理士は表から見えないところで、
正しい納税のためにかなり地味で面倒な確認作業をしているということです。
実は一番好きなのは「帳簿を作る仕事」
こうした申告書作成業務は、日本では税理士だけが受託を許されている仕事です。
とはいえ、本音を言うと、私が一番好きなのは申告書作成そのものではありません。
好きなのは、
帳簿をつけて決算書を作る仕事です。
個人事業主や会社が日々行った取引を整理し、
ひとつひとつ記録していき、
最終的に決算書としてまとめていく。
これは言ってみれば、
一年間のビジネスの活動を、数字で整理していく作業
とも言えると思います。
私は30年以上前に簿記を学んで以来、
この作業がずっと好きなのです。
仕訳を一本切る喜び
本業では上場企業の経理を担当しています。
大企業の経理は分業が進んでいますし、
仕訳の多くはシステムによって自動的に生成されます。
そのため、手で仕訳を入力する機会はそれほど多くありません。
ただ、ありがたいことに私は連結決算の実務にも関わらせてもらっています。
そこではまだ手入力の仕訳も存在します。
そして私は、
仕訳を一本入力するたびに少し嬉しくなるタイプの人間です。
この話を会社でしても、だいたい変人扱いされるのですが。
帳簿設計を考えるのも面白い
さて、副業として税理士業を行う場面では、
当然ながらお客様の帳簿に触れる機会があります。
その場合、私がまず考えるのは
- わかりやすい帳簿になっているか
- 無駄な複雑さがないか
- 将来、別の人が作業しても引き継ぎやすいか
といった点です。
帳簿というものは、一度作った人しか理解できない形になってしまうと、
あとから非常に扱いづらくなります。
そのため、できるだけ
シンプルで、誰が見ても理解できる帳簿
になるよう設計することを意識しています。
そして実は、この
帳簿の設計を考える作業もなかなか面白いものです。
自分の帳簿では、少し遊びたくなる
一方で、これは完全に個人的な話ですが、
自分自身の事業の帳簿となると話は少し変わります。
副業税理士である私の場合、取引量はそれほど多くありません。
帳簿処理はあっという間に終わってしまいます。
そのため、
- 勘定科目をどう分けるか
- 摘要の入力ルールをどうするか
- どこまで細かく管理するか
などを考えながら、
少し自由に帳簿を作って楽しんでいます。
入力した仕訳を領収書と照合しながら確認する作業も、
私にとってはなかなか楽しい時間です。
やはり、少し変わった人間なのかもしれません。
帳簿作成は、本当に面倒な作業でしょうか
最近は、
- 帳簿作成は面倒だから外注しましょう
- AIに任せましょう
というサービスや広告をよく見かけます。
もちろん、それも合理的な選択だと思います。
ただ、私個人としては少し違う考えも持っています。
帳簿をつける作業は、決して単なる「作業」ではありません。
取引を整理し、数字を並べていくうちに、
自分のビジネスがどのように動いているのか
が見えてくるからです。
簿記が好きな税理士もいる
帳簿作成を面倒だと感じる方が多いことは理解しています。
しかし一方で、
帳簿作成そのものに面白さを感じる人間も存在します。
そして税理士の中には、少なからずそういう人種がいるのです。
私も、その一人です。
もし「帳簿ってそんなに面白いものなのか」と
少しでも興味を持っていただけたなら、
ぜひ一度、簿記の世界を覗いてみてください。
もしかすると、
数字の見え方が少し変わるかもしれません。
