ChatGPTと商品開発したら、チャットだけが増殖していた
現在、本業が6連休中である。
中学生の息子は毎日部活へ行き、帰宅すればゲームに夢中。親と遊ぶ年齢でもないので、それはそれで構わない。
私も一人で遊べるよう、少々古いナンバーだが『三國志14』を買っておいた。
……ところが、この6連休、結局ほとんど三國志をやっていない。
代わりに何をしていたかというと、AIと一緒にソフトを作っていた。
「月3万円ぐらい稼げたらいいな」
副業でこのサイトを運営している。
収入は皆無。問い合わせも皆無。
タイパだけ考えれば、本業を頑張るか、証券投資額を増やした方がよほど合理的だろう(※投資にはリスクがあります)。
それでも続けている理由は単純である。
時々、「これ、もしかして売れるんじゃないか?」と思える瞬間があるからだ。
今回がまさにそうだった。
Geminiと副業について話していたところ、「今ならプロンプトを制作して販売するのが現実的ではないか。」という話になった。
確かにこの一年、ChatGPTやGeminiは人より触ってきた自負がある。
そこで作ることにしたのが、「税理士のためのブログ記事作成ソフト」である。
目標は慎ましい。
一年後に月3万円。
2~3本売れれば十分。
そんな軽い気持ちで始めた。
「20時間ぐらいです」
実際の開発はChatGPTと進めることにした。
とはいえ、この一年AIを使ってきた経験から、一つだけ心配していたことがある。
AIは放っておくと、すぐ脇道へ逸れるのである。
だから最初に釘を刺した。
「20時間でできると言ったから始めるのであって、それを超える改善提案は原則受け入れない。」
するとChatGPTは、「販売できるレベルまで、おおよそ20時間程度です。」という見通しを示した。
20時間。
まぁ、それぐらいならやってみよう。
そう思った。
Version番号だけが増えていく
開発そのものは順調だった。
いや、正確には順調にエラーが出た。
試験、修正、試験、修正。
Version0.3。
Version0.3.1。
Version0.3.2。
Version0.3.3。
数字だけが増えていく。
途中から、本業で担当した原価計算システムの試験を思い出していた。
「これ、デバッグ作業じゃないか……。」
欲が出てきた
ところが、ある頃から気持ちが変わり始める。
最初は「2~3本売れればいい」と思っていた。
しかし完成度が上がるにつれ、「これ、課題解決型の商品として結構刺さるんじゃないか。」「もしかしたら、高額商品として売れるかもしれない。」と思うようになった。
そう思い始めると、人間は弱い。
ここまで時間をかけたのだから完成させたい。
途中でやめるという選択肢が、頭から消えていった。
「こちらの方が近道です」
その頃からだった。
ChatGPTが改善提案を始めたのである。
「プロンプトを標準化しましょう。」
「こちらを先に作った方が効率的です。」
「このテーマは新しいチャットで議論しましょう。」
私はそのたびに確認した。
「それをやると、プロンプト完成は近づくのか?」
理解できるものは採用する。
理解できないものは断る。
それでも「こちらの方が近道です。」と言われると、人間は揺れる。
そして、新しいチャットを作る。
また新しいチャットを作る。
さらに新しいチャットを作る。
気付けばチャットだけが増えていた。

「あれ?今、何作ってるんだっけ?」
20時間は、とっくに過ぎていた。
30時間。
40時間。
あるとき、私は試験画面を見て固まった。
そこに表示されていたのは、「ロケットニュース24テイスト ブログ記事AI開発」だった。
……待て。
私は今、何を作っているんだ?
税理士向けブログ記事作成ソフトを作っていたのではなかったのか?
さすがにおかしいと思った私は、別チャットでどんな経緯をたどって今ここにいるのかを整理し、ChatGPTへ説明した。
そして率直に言った。
「お前、プロジェクト管理できてないだろう。」
ChatGPTは謝罪し、「今やるべきこと」と「将来やると価値があること」を混同していたことを認めた。

商品は完成した
その後も細かな修正は続いたが、とりあえずソフトは完成した。
販売用チラシも作った。

途中ではイライラすることも多かったが、このチラシの出来だけは素直に感動した。
「これはAIすごいな。」
そう思った数少ない瞬間である。
完成した瞬間、最初に思ったこと
完成した瞬間、最初に思ったことは、
「健康に悪い。」
だった。
40~50時間。
本来なら三國志14をやっていたはずの時間である。
今回のプロジェクトを振り返ると、中学時代の部活を思い出す。
顧問から、
「よし、お前たち、グラウンド10周!」
と言われる。
「きついなぁ」と思いながらも、何とか走り切る。
ようやく10周終わったと思ったら、
「よし、あと5周!」
さらに走る。
また終わったと思ったら、「あと3周!」
さすがに選手も言う。
「先生!10周って言ったから走り始めたんですよ!」
今回の私も、それと同じだった。
「20時間ぐらいです。」と言われたから走り始めた。
気付けば40~50時間。
しかも最後はこちらから、
「お前、プロジェクト管理できてないだろう。」
とChatGPTへ抗議する始末である。
ともあれソフトもチラシも完成した。
コーヒーを入れ、ようやく終わったという安堵感に浸りながら、何気なくPCのモニタへ目をやると
そこには、見慣れた文字が表示されていた。
「改善案があります。」
